Nov 8, 2008

アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書



【担当編集者から】

アメリカの高校生が学んでいる、パーソナルファイナンスを中心とする経済教育の教科書(NCEEスタンダード20)を日本の実情に即して大胆にアレンジした、経済の超入門書です。

新聞やテレビでおなじみの経済用語——金利、投資、需要・供給、株式、債券、リスク、リターン、トレードオフ、インフレ、デフレ、インセンティブ、GDP、為替レート——を単に意味を解説するだけなく、私たちの日常生活とどのようにリンクしているかを具体的に説明しています。

「毎日の生活に使える生きた経済学」を学ぶことができます。学生の方だけでなく、社会人の方にもおすすめです。


本書はアメリカのNCEE(アメリカ経済協議会)という組織が作った、高校生向けの経済版指導要領?に基づいて書かれた経済入門書です。
内容は、消費者の視点から見た、家計、政府の財政、金融などのお話をかなり分かりやすくまとめられています。

日本の政治経済の教科書が、古典経済理論の内容と経済学者の名前を暗記することに重点が置かれているのに対し、本書を読むと、アメリカの経済教育では、自己責任の価値観をベースに、世の中の動向を理解して、賢い消費者を育成することを強く意識している事が分かります。

日本国内でもパーソナルファイナンスの重要性は問われて来ているけど、経済理論を学ぶより、本書のように賢い消費者になるための金融教育をもっと早いうちからやった方が良いのではないかと思いますね。

Nov 2, 2008

文章は接続詞で決まる




カバーの折り返し
読者にわかりやすく、印象に残るような文章を書きたい。その気持ちは、プロの作家であろうと、アマチュアの物書きであろうと変わりません。
でも、そのためには、どこから手をつけたらよいのでしょうか。
プロの作家は、接続詞から考えます。接続詞が、読者の理解や印象にとくに強い影響を及ぼすことを経験的に知っているからです。(中略)
本書では、総論、各論、実践編の順に接続詞を追うなかで、接続詞の全体像を正しく把握していただくとともに、実際の文章を書くときに役立つ接続詞使用の勘どころについて身につけていただくことを目指します。(「序章 接続詞がよいと文章が映える」より)


著者について
石黒圭(いしぐろけい)
1969年大阪府生まれ。神奈川県出身。一橋大学留学生センター・言語社会研究科准教授。一橋大学社会学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は文章論。主な著書に『よくわかる文章表現の技術 I-表現・表記編-』『同II-文章構成編-』『同II-文法編-』『同IV-発想編-』『同V-文体編-』(いずれも明治書院)、『日本語てにをはルール』(すばる舎)がある。


著者は、本書プロの物書きが最も気にするのは実は「接続詞」であり、最も扱いが難しいとしています(しかし、一般的に文法の書籍での接続詞の扱われ方はあまり大きくない)。

大学の論文や、企業に入ってから文書を書く経験の中で、接続詞の用法に困ったことってご経験ないでしょうか?著者も指摘していますが、この「接続詞」の使い方次第で、読みやすくうまい文章になったり、読者の思考を阻害したりする可能性があります。

本書は、その接続詞の役割をいくつかのカテゴリを豊富に紹介しながら、使い方によるニュアンスの違いなどを詳しく説明しています。
新書にしては珍しいですが、わりと辞書的にも使える書籍だと思います。

Nov 1, 2008

17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義




内容(「MARC」データベースより)
なぜか日本人は仏教のことも、着物のことも、三味線のことも知らなくなってしまった。こういうなかで、私たちは何を感じ、考えればいいのか。「大人」は読んではいけない、足し算の文明と引き算の文化の講義。

目次

第1講 人間と文化の大事な関係(「関係」は変化しやすい
「編集」とは何か ほか)
第2講 物語のしくみ・宗教のしくみ(物語と言語
語り部の記憶 ほか)
第3講 キリスト教の神の謎(生と死の問題
イエス・キリストとは何か…謎・その1 ほか)
第4講 日本について考えてみよう(日本らしさとは何か―「コード」と「モード」
日本の神話に戻ってみる ほか)
第5講 ヨーロッパと日本をつなげる(「異教の知」―ルネサンスの幕開け
神秘のヘルメス思想 ほか)


タイトルは「17歳のための」と書いてありますが、はっきり言って、高校生のころに歴史や倫理の授業に価値を見出せなかった大人たちが読むべき本でした。

第1章の、民族の記憶の保管庫として、人類は「物語」を伝達する方法を編み出し、物語を伝達することによって言語が洗練されていったという話に始まり(割と定説な学説なのかどうか不明)、古代から中世、ヨーロッパと日本、あらゆる時代のあらゆる文化圏において、当時の世情の中で起きた出来事が、人々に影響を与えることで文化が変化し、社会が大きく変わっていくさまが描かれています。

高校のときに習った世界史は、記号として年代や出来事を整理して覚えるような無味乾燥としたものだと記憶しています。
本来は、本書で描いているように、もっと当時の人々の心情や感情にフォーカスをあてなぜそのような社会変化が起きたのか?を考えていくのが歴史や文化であると思いました。

もっといろんな人に読んでほしい一冊。